ボルダリングの聖地、ビショップツアーを終えて
結論からいうと今回のツアー最大の目標「The Mandala」は登れなかった。大雪と雪解けによる染み出しにトライをする事すらままならず、時間にして3~4時間のトライで僕の挑戦は失敗に終わった。ただその短い時間で登れるクライマーも沢山いるだろうと思う。ただ僕の強さが足りなかった。その単純明快な答えに頭では納得しつつも悔しさでいっぱいだった。そして思うように雪で登れなかった2週間の間に「The Mandala」の代わりに限界グレードに挑戦したいと考え、リップの雪も染み出しも比較的マシだった「A Scanner Darkly」V12に残りの日数全てを賭ける事にした。
悪天候に悩まされる日々
今回のツアー期間は3週間。初日は強風となり気温は-5度。寒さに震えながらお目当ての岩探し。ツアーメンバーの1人小澤君の目標課題「A Maze of Death 」V12。数時間迷いつつなんとか見つける事が出来た。初日のトライでいい感触を掴んだようで彼はこの課題に集中する事に。日比野君は「Buttermilker」V13を。そして僕は「The Mandala」V12と其々のやりたい課題が見つかり初日を終えた。 2日目から雲行きが怪しくなっていき大雪でバターミルクがクローズ。深い雪に覆われたせいで岩場への道が困難に。ハッピーボルダーに活路を求めるも「ROAD CLOSED」の看板が。数日は封鎖されるようで通る事が出来なくなった。仕方なくバターミルクに戻るもお目当ての課題は全て濡れており「Buttermilker」のみリップが凍っているものの何とかトライ可能な状態。そこで日比野君がスタンドスタートのV12をワンデイアッセント。シットスタートのムーブも完成させ幸先のいい状態に。しかし3日目以降バターミルクは雪と晴れを繰り返し乾いては染み出し、さらに雪がつもり、それが乾いてまた染み出すといった悪循環に。これが2週間程続き、明らかに僕たちは焦り始めていた。その間ハッピーボルダーでV9~V10等を完登するも目標課題に打ち込めない不安が募りバターミルクで他に出来そうな課題がないか探して出会ったのが「A Scanner Darkly」V12。見た目も内容も三ツ星のこの課題に惹かれた。「The Mandala」は核心のホールドが常に染み出しで濡れており、残りの日数を考えると現実的ではなかったので気持ちを切り替える事にした。「A Scanner Darkly」に残りの日数をかけようと。この課題は濡れている箇所はあるものの日によって場所が違うので上部、中部、下部と部分的にムーブをばらし始めた。その間日比野君は「Buttermilker」V13を完登。濡れている箇所をものともせず流石の成果。嬉しくもありつつ自分の成果のなさにさらに焦りが募る。
ここから先の天気予報でいくと雪かきをすれば恐らくラスト2日は完璧な状態でトライできるだろうと読んでいた。事実その通りになり気温、岩のコンディションも最高に。しかしここでタイヤパンクのトラブル。帰国日が近づき焦っているこのタイミングでタイヤ交換等で時間を取られる事に。さらに不幸は重なり、少し目をはなしている間にクラッシュパッドが盗難に。結局この日はトライ出来なくなり最終日にマットをレンタルしてトライ。この日の為に減量してきたので調子は良く体も動いたが、2手目の核心を越えられず敗退。この日僕と同じく「A Maze of Death 」V12を打ち込んでいた小澤君もラスト1手で惜しくも登れず。さらに左足捻挫というおまけ付き。お互い悔しい思いのまま、翌朝3時にビショップを後にした。
ビショップツアー成果
帰りの飛行機に乗りビールを飲みながら各々の成果をまとめてみた。V9以上しかここには載せていないが、多くの素晴らしい課題を登ることが出来た。目標には届かなかったが、やはり世界有数の岩場である事は間違いない。この3週間はクライミングに没頭できる幸せな日々だった。勿論これが最後ではないのだが次はまだ見ぬ岩場に行きたい思っている。心残りはある。また強くなって帰ってきたい。それまでしばしビショップともお別れ。楽しい日々と悔しさを胸にまた訪れるその時まで。
●主な成果(V9以上)
▼日比野良祐
The Buttermilker Sit(V13)
The Buttermilker Stand(V12)
Kill On Sight(V11/12)
Each One Teach One(V11)
Acid Wash(V10)
Redrum Sit(V10)
Seven Spanish Angels Sit(V10)
To Kill Ya Corner Sit(V9)
Hit The High Hard One(V9)
Acid Wash Right(V9)
Michael Caine(V9)
▼村口 遼
Redrum Sit(V10)
Seven Spanish Angels Sit(V10)
Hit The High Hard One(V9)
▼小澤慧乙
Each One Teach One(V11)
To Kill Ya Corner Sit(V9)
ボルダリングの聖地ビショップという町

世界で最も有名なボルダリングエリアの一つであろうビショップ。カリフォルニア州インヨー郡に位置しロスからおよそ400キロ。車だと4~5時間程度の道程。カリフォルニア州道14号線からアメリカ国道395号線に繋がっており、ロス市街を抜ければほぼ一本道で迷う事も少ない。雄大な自然に心を奪われながら車を走らせるが2時間もすれば飽きてしまうのが難点。
ここではレンタカーの一定速度を維持する機能オートクルーズが本当に便利。運転の疲労を大幅軽減してくれるのでオススメ。町には様々な宿泊施設や飲食店が立ち並び生活するには殆ど困らない。特に大型スーパーVonsにいけば大抵のモノは揃うので安心。さらにVonsカードを作れば少し安く手に入ります。モーテルも沢山あり殆ど無料Wi-Fi付きで、部屋もかなり綺麗。余程神経質な人でなければ何処でも大丈夫。Booking.com等があれば簡単に宿を予約できるので重宝しています。クライミングギア、アウトドアショップもありクラッシュパッドも1日10ドル〜15ドルぐらいでレンタル可能。ただ早い者勝ちなので日本から持っていかない人は予約していかないと借りれない事もあるので注意が必要。
Booking.com https://goo.gl/XZeH1S
ビショップボルダリングセレクト https://goo.gl/7lOF2K
ビショップアウトドアショップ https://goo.gl/5rZVH7
ビショップレストラン一覧 https://goo.gl/Pzvdf8
ビショップ主要エリア
BUTTERMILK COUNTRY
言わずとしれたビショップの超有名エリア。なんといってもまずはココ。市街からのアクセスも車で20~25分程度。少し荒れた道もありパンクしないか不安な所も。その雄大な自然の中に花崗岩のボルダー群が点在しておりそのスケール大きさに心奪われるのは間違いなし。登れたら気持ちいいだろうなと思う反面、そのハイボールの多さに圧倒されてしまうかも。細かいホールドに鋭利な結晶。さらにリーチが必要なモノも多く、小柄なクライマーはかなり苦しめられます。思った以上に指皮が摩耗するので経済的なご使用を。テーピング類は必須。寒い時期に訪れるとクライマーの気持ちと体力を強風で根こそぎ奪っていく恐ろしい一面も。
HAPPY AND SAD BOULDERS
こちらもワールドクラスの火山岩エリア。特にハッピーはバターミルクで強風に見舞われたクライマーの避難場所としても有名。その気候の違いには戸惑いすら感じるが、課題のクオリティは秀逸。冬でも暖かくて登りすいく犬を連れて日向ぼっこしているクライマーも。思わずうたた寝してしまいそうな程気持ちのいいエリア。ホールドも指皮に優しく傾斜がある岩も多いので日本人には簡単に感じるかも。全体的にフィジカル総合力が求められる課題が多く、ホールドも多彩でさまざまクライミングが楽しめる。但しV0とかでもハイボール満載なのでトライする人は慎重に。
一方、サッドは、ハッピーよりハードな課題が多く、トリッキーなものも。ビショップでは珍しくケイブボルダーもあり直射日光も当たりにくいので冬は少し寒いかも。とはいえバターミルクの強風に比べれば、比較にならない程過ごしやすい。


