Burden of Dreamsへの挑戦 グッぼるツアーフィンランド2018

フィンランドには世界最難のボルダー課題とされるBurden of Dreams V17(6段+)があります。正直、このタイミングでフィンランドへ行くかどうかは迷いました。今年の春先に登れなかったイタリアのGioiaという課題の再チャレンジを優先すべきな気がしていたからです。実際、天候に恵まれなかった春先のツアーからトレーニングを重ねていたこともあって、今ならGioiaが登れそうな感覚もありました。また、世界最難の課題に挑むにはまだまだ自分が実力不足で早すぎる気がしていました。けれど、今回のフィンランドへ行くことを選択しました。単純に、登れそうな課題だからそこに行くという理由よりも、それより難しいとされる課題をまずは経験したいと思ったからです。

2018.8.30 ヘルシンキ入国

今回のフィンランドまでは直行便。スーツケースとマットを預けて約9時間30分のフライトで到着しました。これまで、あまり直行便に乗っていなかったこともあり、あっという間に到着した感じ。到着したときの空はどんよりした曇り空。後からしてみれば、フィンランドは雲ひとつない青空というより、基本的に曇り空か小雨がしとしと降るという印象。ちょっと北欧のイメージとは違いました。ヘルシンキの空港から宿までは約40分。フィンランドの人はサウナ好きと聞いたことがありましたが、今回の宿にもサウナがあり、時々使わせて貰いました。

2018.8.31 初めてのフィンランドの岩場

曇り空の中で、Burden of Dreamsのある岩の場所まで。到着して初めて対面したその岩は綺麗に130~135°に傾斜しており、その傾斜に僅かなホールドが存在していました。Burden of Dreamsは実質6手の短さながら、すべてのムーブが悪く、そして想像して思い描いていたよりも手も足のホールドも遠くにありました。この日は夜に雨が降ったのか、水が滴っていたため、早く乾くことを願いつつ他のエリアへ。

2018.9.1 最難へのスタート

1日経って、少し乾いていました。Burden of Dreamsの岩は周りの木で風や日差しが遮られて乾きにくいことが判明。それでもチョークを何回も付けて磨くの繰り返しで、ある程度乾きました。世界最難の課題をトライできる状態になり、1つ1つのホールドを確かめるようにしてムーブを起こしました。ホールドそのものは保持しやすいように感じましたが、ムーブが全く繋がらない。その場では浮けるが、次の1手を出そうとするとバランスが保てない。そうしているうちにすっぽ抜けをして指皮が裂けそうになるため、トライ回数も限られました。岩が乾いて万全の状態になるのが待ち遠しい。

2018.9.3 本気トライ開始

前日はBundenの岩がなぜが濡れていたため、トライ出来ず。しかし、この日は昼間に日差しがあったためかスタートホールド以外は乾いていました。滑りそうになる遠い足のホールドに徐々に力をかけていき、手と足のホールドにそれぞれかける力のバランスを探していく。すると、後半のパートは1つ1つのムーブは繋がらないながらも、繰り返していたら出来そうな感じがしました。

2018.9.5 ムーブへの慣れ

雨予報にも関わらず、Bunden周辺は乾いていました。丁度、Bundenの上だけ雲がない奇跡。この日も中間部からムーブ練習を開始しました。すると、バランスをキープできる態勢に慣れて1手ずつが止まるようになってきました。けれど、1日に何度も繰り返せない。疲れて指の保持力が少しでも落ちるのを感じると途端にムーブが出来なくなる。このあたりから、保持力の感覚を上げるためにも体重を本格的に絞り込みました。

2018.9.6~9 ひたすらムーブを考える

晴れた日には、夕方から夜23:00頃までひたすらムーブ練習と自分にしっくりくるムーブ探し。初登したナーレのムーブ以外に自分に最適なムーブや使えるホールドはないのか、手のホールディング、ピッタリくるシューズなど登れる可能性を上げる要素を突き詰めていく。しかし、その途中で同じフットホールドを踏み過ぎたのか、左足のハイアングルのゴムが剥がれてしまい上手く踏めなくなりました。急遽、ネットや周辺のジムでシューズ探しをするもののなかなか見つからない。ようやくネットで見つけたシューズもそのお店の在庫が本当はなく、到着が帰国までに間に合わずキャンセル。どうしよう。。。 減量の方は、カフェや宿での美味しいご飯も極力我慢し順調。それにしても、フィンランドのスーパーも美味しそうな食材が多くて辛い。けれどツアー中は自然と我慢できる不思議。

2018.9.10 後半パートの完成

この日は後半のムーブを決定。気温はあまり低くないながら、自信を持ってムーブができました。そして、暗くなりカメラと共にライトをセットした後、2手目を両手で保持したところから本気トライをスタートし、マントルを返すところまで繋がりました。Bundenが登れそうな実感がかなり湧いてきました。正直、この後半を繋げるだけでも5段はあるほどに難しく感じていたが、あとは1手目とそのホールドのマッチ。ツアーは残り4日。何としても1手目を止めたいと思いました。

2018.9.12 newハイアングル

Bundenの岩に行く前にショップへ行き、ハーフサイズ下げたハイアングルを試し履き。恐ろしく痛いけれど、左足のシューズが無ければムーブすら試せないため意を決して購入することに。ベルクロがかなりほつれていたので、店員さんに片言英語で相談すると20%offにしてくれました。相談して良かった。もともとセールだったこともあり88ユーロ(約11000円)。ちょっと得した気分で岩場へ直行しました。 1日のレストを挟んでいるため、体力十分で1手目とそのマッチをするムーブ練習。体重もツアー前から約2kg近く減り、今できる万全の状態。セパレートのスタートホールドを左右共に全力で保持して浮き、1手目を取りに行く。けれど、手が止まったと思ったトライでも足が抜ける。何度やっても止めきれない。ただ、足の位置とスタートの持ち方は何となく分かった感じがするため、最終日にかける気持ちで宿へ。

2018.9.13 トライ最終日

Bundenの岩に到着して、ツアー中に決めていたムーブで使用するホールドを全てブラッシングして登る準備をする。 昨日のトライで1手目を止めるだけでも相当難しいことは分かっていたため、1トライずつ30分は開けました。1トライ目で2手目を余裕を持って出せたものの、振られる瞬間にまたしても右足が抜けた。「止まる」と信じてスタートから始めたが、5トライ目で左手の薬指が裂けてしまった。よく考えてみれば、ほぼ毎日Bundenを触っていたため、指皮は同じところを酷使しており、今まで裂けなかったのは運が良かったかもしれない。レストと薬指にテーピングをしてスタートや他の部分のムーブ練習をしようとしても、やはり滑って全てのムーブが出来なかった。 今回のツアーでのBundenへの挑戦は終わったことを課題の前で感じつつ、次のためにホールドとその距離感を再度確かめ、ブラッシングとティックマークを消して終了しました。

2018.9.15 日本へ帰国、そして

16日間の滞在で10日間もトライできたことは天気に恵まれていました。出国前や滞在中も雨予報が多かったにも関わらず、ギリギリ降らなかったり、小雨だったりしたのが幸いでした。また、今振り返ると10日間かけても出来なかったムーブがあることやその1つ1つのムーブの強度を考えるとまだV16を登っていないなりに、V17なんだろうなと感じます。そして恐らく、今の実力ではツアーの日程がもう少しあっても登れなかった。もっと長い期間の準備が必要そうです。一方で、ツアー前に予想していたような「何一つ手も足もでない」ということは無く、2手目以降はできたことが少しばかりの達成感として残りました。 また一つ、登れるまでトレーニングを突き詰めようと思える課題が増えました。そして、登れるまでフィンランドへ挑戦しに行こうと思います。 前段階として練習用のBunden of Dreamsのシュミレーション課題をグッぼるに作る予定です。早くシュミレーション課題は登れるようになりたいところです。

グッぼる店長より

現在、グッぼるMOONBOARDにはBurdenのシュミレーション課題があります。V17がどれほどの難しさかは一目瞭然です。感覚が麻痺するくらい厳しく見えます。ただこの課題を目標に設定できるクライマーは数人でしょう。フィンランドは遠く季節も短く雨も多い。この条件も厳しさに拍車をかけています。運も体力も時間も気力も相当消耗します。ただ課題を見れば納得できる圧倒的なライン。第2登は世界の注目の目標。これに挑戦できるフィジカルを手に入れただけでも彼は幸せだと思います。ぜひ登れるまで亀山凌平を応援してあげてください。
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