ジムの課題について考えてみる

クライミングを長く続けていれば、ジムで登っている時に「これは良い課題だな」、「これは悪い課題だな」(強度的なものではなく)とクライマー同士で議論になった事が一度くらいあるかと思います。今回はそんな課題というものに対して少し掘り下げてみようと思います。

そもそも課題とは何のためにあるのか

元々クライミングジムとは岩で登る為に効率良く練習する為に出来たものと思います。ジムでの課題は岩を擬似し、ホールドは岩を模造して作られたものです。人間には計り知れない自然の力で生み出された岩をどうやって登れば良いのか。そうやってクライマー達は色々なホールドを生み出していき、それがクライミング文化を発展させてきました。しかしどんなに凄いセッター、素晴らしいホールドでも「自然の感触」になかなか追いつけない。 その未知なる自然の岩で困難な挑戦を達成する為に課題がある。あくまで僕にとってはですがジムはそういった場所であると考えてきました。

  • 身体を鍛える
  • ジム課題で試す
  • 岩で達成する

この3つを均等に配分するのがグッぼる流。より良いクライミングライフのためにグッぼるはこのバランスを保ち続けています。僕自身、お客様にもこれを体験してもらえるようなをジムを目指して課題を日々製作しています。

課題を定量化する

皆さん「このジムは辛い」、「このジムは易しい」という会話の経験はありませんか?本来、難易度を定量化する為のグレードすらジムごとに違います。しかしそれはトライする人のパワーや技術、リーチに柔軟性等、条件が様々である為、主観でグレードを定める事は仕方ないものと思います。知らず知らずのうちに製作者の偏りがありそれはムーブにも表れます。そこでグッぼるでは偏りを少なくするためにスタッフで話し合い課題を要素(パワー/トリック/リスク)で10点評価。各項目の合計点が常に同じになるようにバランス良く循環配置出来るように課題を付け足したり引いたりします。各々の先入観を排除して定量、最適化します。

そして3ヶ月に一度のサーキットでは毎回違うゲストセッターを招いて違う方向性の課題をプラス。それが単独のセッターやスタッフによる偏りを防ぎまた数値をみて平均化していきます。これにより不得意な要素を見つける事で上達の最短を探れます。グッぼる課題評価表(csv)はダウンロードやプリントアウトも可能。興味がある方は下記リンクをご覧下さい。
グッぼる課題表 http://bit.ly/2MB7Ost

定番課題について

グッぼるでは成長を感じつつ新しいムーブを習得する為に「循環型ウォール」と題して3タイプに課題を分けています。

  • 定番課題(数年毎に100本を循環。同じ課題を登り込むことで理想ムーブ習得が目指せます)。
  • サーキット課題(3ヶ月毎30本以上。一流セッターによる順に難しくなる課題。スタッフが厳選して定番課題に昇格。) 
  • セッション課題(毎月2回のセッションイベントでレベル別に課題作成。) 

現在僕自身が行っているトレーニングとして各グレードの定番課題で週2回のサーキットトレーニングがあります。最近は自らの限界グレードより1つ落とした赤テープ全28課題(2~1級)を1日で全て登れるように挑戦中。現在最高で21本。1本登れていない課題があるのでそれは別の日にトライしています。この登り込みはより美しく効率的に繰り返す事が重要で、クライミンググレードの向上に非常に役立ちます。同じ課題を何度も登り美しく仕上げていく段階で必要な動作(キネティックチェーン)が効率的に強化され、それを行うにはムーブを洗練させる必要があります。それが可能になれば次は3本づつ登るトレーニングに移行予定。登りなれた課題を3分以内に連続3回登ることで、より美しく登るための筋力や連携動作が磨かれます。

  1. 決定力(とにかくよく見て登る)
  2. 筋力制御(足音をセーブして登る)
  3. 連動性(流れるように登る)

上記のトレーニングを行うには最適の定番課題。スタッフにより厳選された基本に忠実で無理のないオーソドックスなものがメインです。そしてグッぼるの壁には他のジムに少ない珍しいシステムがあります。最近はラインセットのジムが多く課題を入れ替える頻度も多いです。その場合毎回新しいルートを挑戦できる新鮮さはありますが、上達進度がはかりにくいデメリットもあります。グッぼるではそれを3ヶ月毎にゲストセッターを迎えるサーキット課題と定番課題に分ける事で両立をはかっています。そしてサーキットでの名作を定番に落とし込む事で、一流セッターの課題を偏りなく楽しめます。

そこで次回のブログでは現在トレーニングに使用している赤テープ課題の中からゲストセッター達のオススメ課題を紹介していこうと思います。野村真一郎、村井隆一、一宮大介、波田悠貴、竹内俊明、北江優弥と誰もが知っている超豪華セッター陣の課題を解説付きでお届け。ご期待ください。