ゲストセッター中野稔さん

2021年春サーキット。ゲストセッターで中野稔さんにお越しいただきました。最近では鳳来にて「モナリザ」や「ヴァニタス」といった5段を短期間で完登。カチを始めとした保持の強さはここからもハッキリと分かる記録です。普段は広島のクライミングジムCeroでスタッフをされているとのこと。遠方の広島ということもあり近畿や東海では中野さんがセットした課題は触ったことが無く楽しみでした。当日セット最中にお話を伺えました。インタビュー形式でご紹介。

現役を離れたからこそ見える自分の調子

残り12秒の1手で優勝した2017年リードジャパンカップ。登りが速い楢崎智亜選手に、ゆっくりとした登りの上手さで勝る中野さん。その対象的な登りに感動したクライマーは多いハズ


Q.現在37歳とお伺いしましたが現役時代と今でトレーニングに変化はありますか?

「現役時代よりも自分のカラダの調子が分かるようになってきました。コンペがあるとその日に向けたトレーニングが当然必要なので追い込み過ぎてしまうことがあり、実際にオーバーユース(過剰な頻度のトレーニング)になっていたようにも思います。今は岩を登るにしても自分のペースというのかがつかめてきました。自分が経験しているのでコンペ中心のユースクライマーを見ていて時々同じことを感じます。ユースの子達も今の自分が登り過ぎやトレーニングし過ぎなのかは掴みきれていないところがあるように思います。」


Q.最近ですと鳳来で5段をわずか数日で完登。普段の保持トレは何をしていますか?

「カチはやはり悪いのにぶら下がることや、ボルダーで悪い課題を登ります。ただ、カチの保持力に関しては"体の連動"が大事だと思います。以外にも悪い薄カチに単純にぶら下がれる日の方が課題は登れないことがよくあります。」


悪いカチにぶら下がれるのに登れないというのは、感覚的に不思議に思えます。

体の連動性が良い=登れる

体の連動性が良い=登れる

Q.試登のときにも話されていましたが、体が連動するとはどういうことを指しているのでしょうか?

「手の保持に伴うように足に乗れる、体にチカラが入る状態です。腕だけで登らないといったような。残したい足が滑るというのは手で引いたり次のホールドを止めたりするタイミングと、体へチカラを入れるタイミングが合わないに日に良く起こります。」


Q.Ceroでは中野さんもセットされているそうですが、そういった”連動”が必要な課題も?

「そうですね。単純に手のホールドが悪い課題よりは、重心を上手く落としたり、より壁に近づくことをしないと登れない課題が多いです。難しいボルダーの課題でもキャンパのような足を切って登る課題は少なめです。」


Q.体重は気にされていますか?

「今はおおよそ61~2kgぐらいかな。でも体重は気にしすぎない方がいいと思っています。上下するものですし、それよりも先程からの連動性の方が登りには大切です。」


Q.少しでも体重は軽くしたいという声は良く聞きますが、中野さんは動きにもっと重点をおかれている感じがしますね。

「登りの特徴やクセもあるでしょうね。ですが私もワールドカップ出ている頃はもう少し軽くしていました。60kgを切って50kg台のときもありましたね。」

あと数年のうちに海外の高グレードも登りに行きたい

あと数年のうちに海外の高グレードボルダーも登りに行きたい

中野さんのサイン。数字は身長とリーチ


Q.今の登りたい目標課題はあったりしますか?

「鳳来は”ヴァニタス”と”モナリザ”の2本が登れたらいいかなと思っていたので、やはり別の岩場へ行きたい。瑞牆の”Decided”やlow startの”United”はタイプ的に苦手そうでは無いので触ってみたいですね。」


Q.海外の岩場はどうですか?

「行きたいのはアメリカのビショップ"Lucid Dreaming"とフィンランドの"Burden of Dreams"ですね。自分は年齢的にあと3年ぐらいがキープするにも限界かと思っているので、たくさんは行けない。でもこのあたりの課題はなんとか行きたいと思っています。」

最難44番、45番は「そのへんの5段よりも難しい」

最難44番、45番は「そのへんの5段よりも難しい」

Q.今回のサーキットセットはどうでしたか?

「外部のセットで(難しい方へ)振り切ってセットしても大丈夫と言われたのは初めてだったので、最難2本は振り切ってますね笑。」


Q.最難のサーキット課題44番と45はかなりホールド位置も調整されていましたね。

「ムーブはできそう。44番は何かできそうなイメージが出来てきてます。45番は冬でないと無理かも。ホールドが薄いし、1日に何回も打てなさそうです。どっちも5段はありそう。そのへんにある5段よりは難しいと思いますね笑。」


中野さんお越しいただきありがとうございました。今回の44番、45番はdaiholdの新作シェイプを惜しみなく使用した課題になっています。最初に見るとこの傾斜にこのホールド?!となること間違いなしです。中野さんのカチの強さを課題に垣間見ることができます。トライお待ちしています。