瞬間で握る力はコンタクトストレングス
たびたびクライミングで耳にするコンタクトストレングス。接触筋力と呼ばれたりします。これはクライミングにおいて固有で使われる用語です。コンタクトストレングスは「指がホールドに接触する瞬間につかむ能力」のことです。指がホールドに触れてから最大筋力が発揮できるまでの時間が短いほどピタッと止めることができるでしょう。ランジやデットを止めるには必須のチカラと言えます。
ホールドを持つスピードは人それぞれ
単純にホールドにぶら下がる動作では指先の細かい筋肉郡はアイソトニックな運動(チカラは入っていても筋肉の収縮距離の変化はない状態)となっています。一方で次のホールドへ素早く移動すると指先にごくわずかな伸縮が起こります。例えばデットでダイナミックに次のホールドへ移動する場合には指先がホールドに触れ、体重がかかりきるまでに前腕の筋肉が収縮し続けます。指の関節はこの負荷で開いた後に再び収縮して安定する位置で止まります。
この過程でそれぞれのクライマーでホールドを握れるまでの速さに差が出てきます。ホールドを止める過程で指の開きが安定する位置に収まる時間が短いほど次のムーブへ移行もスムーズとなります。この時間を短くする要因として指先の強さももちろんですが肩による受け流しや片手キャンパであれば片方のプッシュの強さも関係してきます。
キャンパこそコンタクトストレングスが早く身につく鍛え方
キャンパスボードでのトレーニングは足による上方向への補助を得られません。そのため効率よくコンタクトストレングスを鍛えられます。ラングを手で止めた衝撃をすべて指で受け止める必要があります。最初から高負荷のトレーニングメニューをこなせなくともラングの厚みや飛び出す距離によって負荷を段階的に調節できます。
- ラダーで左手右手と交互に登り下り
- ラダー動作をラング1本飛ばしで登り下り
- ダブルダイノで登り下り
- ラダー動作をラング1本飛ばしで登り下り
ウォームアップがしっかり終わったタイミングがベスト
「キャンパはいつするのがいいのか?」といった疑問はあるかと思います。登る前か後なのか。コンタクトストレングスを鍛える瞬発系かつ最大筋力も必要な場合には体がフレッシュできっちりと暖まったタイミングがベストになります。登り込み後では腕のパンプや全身のヨレから精度が悪くなります。また、日頃の疲労が取れていることも大切です。キャンパトレーニングを日頃から取り入れている小山田大氏はロクスノ64号で「体がフレッシュなときが良いと思います」とコメントされていますが、これも体が十分に回復しているタイミングの方が高負荷のトレーニング内容を効率良く実施できるためだと思われます。
キャンパで静かにキャッチすると関節が保護される
毎日のようにキャンパトレを繰り返すのはやはり手首や肩を痛める原因です。また、バシバシ音を大きく立てながら行うことは全身の筋力で衝撃を調節できておらず、最終的に関節に負荷がかかってきます。そのため音が立たないよう静かに次のラングを止めることで自然と指や肘、肩といった関節への負荷が減ります。衝撃を複数の部位で吸収できるためです。次の動作への連動も良くなり登りのリズムも速くなります。また、キャンパでのダブルダイノや遠いラングを取る場合にも意識することで筋パワーや距離感の調節がより上手くなっていきます。
意識よりも速く指先から全身が反応する
グッぼるのキャンパスボードで難易度の高い2つのメニューに挑戦してみました。ダブルダイノタッチダウンは目で追えておらず感覚を頼りに動いていました。本当であれば「引いて、押して、タッチして、掴んで、肘は伸ばしきらずに背中はそらして、足の振りで次を出す」という一連の動作を切り替えているはずです。しかし、これらを頭の中で考えている余裕はありませんでした。それでもコンタクトストレングスでラングを掴めるだろうという憶測を頼りにしていました。キャンパで更に難しいトレーニングを探している方に徐々に挑戦していただきたいトレーニングメニューです。


