トレーニング
基本の1日ローテションの組み方を教えて下さい
ウォーミングアップ 10~20分
能動ストレッチ 15分
壁動作トレーニング 目標設定→パワー/トリック/リスク/持久力/弱点/動作/オールアウト/コンペ
弱点克服ファンクション1種 最大負荷
サーキット 6~10回を3セット TRX6種→腕立て/スクワット/プル/懸垂/背筋/腹筋
クールダウン バー懸垂/プライオメトリクスステップ/片足ステップ/なわとび
※1週間の理想トレーニングタイム=18時間×20/年齢
※トレーニング時間の配分=壁トレ3:筋トレ1
強くなるために必要な事は何ですか
故障しない事を優先的に考える
計画的に休む
ピリオダイゼーションを実行する
鉄の心肺機能を持つ
ポジティブに導く考え方を身に付ける
常に変化を好み学習し追求する
目標は必ず達成して進む
筋力を維持する方法はありますか
衰えは大腿筋から始まる。動作のすべてに筋パワーとして関連するのが大腿筋。アスリートパワーが落ちる原因は大腿筋の最大筋力と大きく関わる。ボルダリングにおいては初動のほぼ全ての源であるためダイナミックな動きが減衰する。
伸び悩んでいます
単にプラトー。意識が低くなり故障が増えるので注意。強くなるより上手くなる。上手い人は強くなれ。想定外の思考を取り入れる。コーチなどに頼る。
どうすれば強くなれますか
仕組みを理解し実際と同じ動作で十分カスタマイズされたトレーニングをやり抜く。
どうすれば仕組みを理解出来ますか
他人の言葉をよく聞き、多様性を心底から受け入れる。言葉の真意を探るのが重要
主なトレーニング方法を教えて下さい
動員キャンパシング
受動キャンパシング
能動キャンパシング
スーパーバランス
スピードクライミング
ロックオフクライミング
ロングタイムクライミング
筋膜ストレッチ
筋動作ストレッチ
プライオメトリックスパワー
トーションパワー
ギャストンパワー
虫葉筋パワー
筋動作神経接続
アニマルイメージ
反動吸収イメージ
流動静止イメージ
5ビートリズムイメージ
リアルダメージシンクロ
多象限スパイラルマトリックス分析
ガストン懸垂
トレーニングでだけ登れるフィジカルを鍛えることは難しいですか
現フィジカルを最大限利用するのとフィジカルを上げるでは全くトレーニングが異なる。潜在フィジカルを十分神経に伝えず筋パワーを鍛えると、ムーブを習得出来ないばかりか不必要な箇所にパワーが付き効果が少なく故障に繋がる。強化の筋トレが必要な場面は少なく再配置で足りる場合が多い。なので時間は必要なくいいコーチとの信頼関係の方が重要である。
筋動員力を上げるには
筋動員を上げるには、最大筋力ではなく関わる筋肉部位の数やストローク量を増加させる。プライオメトリックスを流動静止パワーとして利用。その際トーション方向に筋肉を参加させるのが最適。
最適なトレーニングとは
筋力トレーニングは時間の無駄。筋動作トレーニングを行う。
ムーブに必要な考え方はありますか
ムーブとは最小の力で動く距離を延ばす事。
エングラムとは何ですか
300以上の筋肉の長短をセットとして記憶し、このセット呼び出し瞬時に再生するのがエングラム。記憶に60から90秒必要。
最適なトレーニングの条件とは何ですか
潜在的筋力を最大限引き出せる方法に負荷をかけると、その能力を更に延ばせる
スパイラルメソッドとは何ですか
グレードを上げるには、各要素に必要な強度やスキルを必要範囲内に収めて得意要素や苦手要素からの偏りを無くす。要素平均化によるバランスがスムーズなグレードアップを導く。グレードが上がれば各要素の必要範囲も上がるため、同じトレーニングでもグレードアップ後に強度を増して繰り返し行う事が有効。円状に要素があり渦巻き状にグレードアップするイメージ。グレードが上がるに連れ隣合う要素も似通って来てより複合的なトレーニングが必要となる。ピリオダイゼーションとの違いは、グレードアップに常に対応させる為、時間的計画は立てられない。
ピリオダイゼーションとは何ですか
ハンス・セリエ=「いつも同じトレーニングを行っていると、次第にその刺激とそれに対する適切な反応がみられなくなる」量と強度の反比例させる。1年間のスケジュールの中で「量を変化させる」「量に反比例して強度を変える」という考え方。量を増やしたら強度を下げ、強度を上げるときは量を減らす。年間を通じて重要な試合や目的でベストパフォーマンスを発揮するようメニューを作成。運動刺激による身体反応を区別した次の3段階からメニューを最適化する
ショック期
痛みが生じてパフォーマンスが低下する。
適応期
体が運動に適応してパフォーマンスが向上する。
停滞期
適応がとまりパフォーマンスが低下することもある。
筋力トレーニングにおける最大の物理的ストレスとは
ATPがクレアチンと糖質から産生される「解糖系」エネルギーの代謝作用時間は40秒
1セット40秒以内で使いきれる負荷。1レップ5秒 40÷5=8レップス。
筋力アップ 8レップス以内 収縮たんぱく質(アクチン・ミオシン)だけを肥大
筋肥大 8レップス以上 収縮タンパク+筋形質(ミトコンドリアなど)を増大
物理的ストレス以外の発達要因は何ですか
1.筋肉の収縮・弛緩にともなう筋肉内酸素環境の変化
筋肉が収縮すると血管が押しつぶされ酸素が行き渡らなくなる。レップスを終了して筋肉が弛緩するとドッと血液が流れ(虚血-再灌流)活性酸素が大量に発生。活性酸素はそれ自体が筋肉を損傷して発達への刺激となるほかサテライト細胞(筋細胞の周りにある筋肉となる若い細胞)を刺激して筋肉の肥大を促す。
血流が制限された状態が長く続くほど虚血-再灌流の作用は強く出るため少ないレップスだと起こりにくく、筋肥大は望めない。筋緊張時間として30秒、6レップス必要。
2.乳酸やアンモニアの蓄積、カルシウムイオンの放出と取込みなどによる細胞内環境の変化
3.成長ホルモンやIGF-1などの成長因子の産生
ウォーミングアップの基準はありますか
汗を少しかくまでMAX30%以内
良いストレッチの基準や方法がありますか
パワートレーニング前のストレッチはエキセントリック能動ストレッチ。途中は筋動作ストレッチ。終わってからバッシブ受動ストレッチを行う。
オススメのトレーニングを要素別に教えてください
●筋力
ウエイトトレーニング
懸垂
体幹トレーニング
両手キャンパシング
指懸垂
ランジ
ピンポイントムーブ
●動作
インナーマッスル強化
キャンパシングセット
クライムダウン
ピラミダルセット
コーチング
スピードクライミング
●持久力
縄跳び
ジョギング
キャンパシングセット
20分トラバースセット
ローインターバルセット
●クールダウン
乳酸を完全消費させる。心筋がリラックスするまで。
プライオメトリクス 筋反射と筋動員について教えて下さい
筋肉の伸張反射のメカニズムを利用し、短時間で爆発的な力を発揮させるためのトレーニング法で、多くの競技者がトレーニングルーティンの中に取り入れています。
伸張反射というのは骨格筋が急激に伸張した時に反射的にその筋肉が短縮しようとするものです。メカニズムとしては過度な伸張が引き起こされると、伸張受容器である筋紡錘が興奮状態を起こします。この興奮は脊髄に伝えられることによって、ニューロンの興奮につながり、結果的に筋肉が収縮されます。筋肉というのは、たんに短縮するよりも一度伸張してから切り返して短縮させた方が瞬発的な力が発揮されるのです。この過程は伸張―短縮サイクルとよばれ、この過程を利用することで効果的なプライオメトリクスが行えるのです。
モチベーションがありません。
モチベーションよりインセンティブを大切に。自身の方向を模索するより、ボルダリングの海を知り理解し自身をマッピングする。それが正しいクライマー。
最大筋力を増加させるには
クライミングだけで筋肥大化は難しいのは今や常識。筋肉群を長時間使わない様にする事が重要なスポーツである為、ムーブによりメインの筋肉群は次々と移動してしまうからである。
クライミングによる筋肥大化トレーニングの効果を最大限に高める為には、同じようなホールドやムーブが繰り返されるルートにおいて、10秒から25秒間ぐらいで筋疲労に達するムーブのシークエンスが望ましい。
フィンガーボードでの筋肥大化トレーニングは負荷を調節しやすい。
使おうとしているホールドでの最大筋力を測定するには、最低2秒間ぶら下がれる重さが最大筋力となる。
最大筋力にたいする%がわかれば負荷を調節できる
フィンガーボードでの筋肥大化トレーニングは、指と前腕の小さな筋肉郡だけが鍛えられるので、オーバー・トレーニングに注意が必要。
問題点としては筋肉を太くするのが最終目標ではないことを忘れずにおくこと。
筋肥大化トレーニングは最大筋力を増加させるけれども、クライミング能力自体への効果は見られないかもしれない
登る為のパワーを高める他の要因(筋動員と筋肉間協調)に取り組むまでは、絶対筋力のどんな増加であっても、重量の増加によって相殺されてしまう。
あくまで、体重に対する最大筋力の比率が望ましいものになって初めて意味を持つ
筋肥大化トレーニングに最適な条件とは
負荷:80~85%
セット数:5回~6回
時間:6秒
セット数:6~10回
インターバル:2分~3分
負荷レベル:ラスト2回はチーティング
回復時間:48-72時間
継続長:4週間~7週間
持久力の意味を教えてください
クライミングでの持久力とは筋エネルギーの回復である
ATP(アデノシン三リン酸)と他のリン酸は、筋肉の収縮に使われるエネルギー化合物である。これらは蓄えておくのが難しいので、筋肉中には約5秒間ほどが収縮できる分しか含まれていない。したがって収縮を持続するには、ATPを補充する代謝過程(エネルギー回復)に頼ることになる。筋肉がATPを消費している間、ATPは主に蓄積されたグリコーゲンから作られる。筋肉は、これを酸素がある場合とない場合、つまり有酸素的にもしくは無酸素的に行う。有酸素性代謝は、グリコーゲンを効率的に燃やし、多くのATPを作ることができる。
しかし、酸素を必要とするので血液の安定した供給を必要とする。パワフルなムーブで登っている時は酸素を運ぶ血流が妨げられており、その上筋肉には有酸素性代謝で作り出す以上のATPが必要になってくる。このような場合に、細胞はATPを無酸素的に作る手段をとるのである。
効率は悪いが、酸素なしでATPを回復する手段としてはましなものである。無酸素性代謝では、グリコーゲンが不完全に燃えるので、反応の最終生産物として乳酸が残ってしまう。乳酸の蓄積はATPの回復を遅らせてしまう。有酸素性代謝では少ない老廃物でより多くのATPが作られるので、普通、身体は無酸素性代謝よりも有酸素性代謝を行なっているが、筋肉がATPを必要としているときは、大抵の場合、血液の供給が制限されている為、無酸素性代謝を使わざるを得ないのである。
筋肉が収縮すると毛細血管が締め付けられ、収縮が強くなると最終的には完全に閉ざされてしまう。したがって、筋繊維が利用できる血液の総量は、筋肉がどれだけ収縮したかによってちがってくる。最大筋力に対する負荷が20%以下なら毛細血管は全開しているので、パンプはしないといえる。最大筋力に対する負荷が20%~50%なら毛細血管は部分的に閉ざされる。こうなると有酸素性代謝が低下し、ある程度のATPを無酸素的に生産しなければいけないので、乳酸が副産物として生まれ、徐々にパンプしていく。最大筋力に対する負荷が50%以上になると毛細血管は完全に閉ざされてしまう。したがって無酸素性代謝でしかATPを生産できない。この状態が続くと乳酸は40秒~90秒で筋エネルギーの回復を停止させるまでに膨れ、筋肉は使えなくなってしまう。
この違いによってクライミングは3つのタイプに分けることができる。
パワー、パワー・エンデュランス、ローカル・エンデュランスである。
パワーは最大筋力の短い使用(80%~100%)
パワー・エンデュランスは高い筋力の反復使用(50%~80%)
ローカル・エンデュランスは穏やかな筋力の長時間使用(25%~50%)
これらは全て最大筋力が中心となっている。
よく陥る障害の対処法を教えて下さい
クライミングで起こる一番多い障害は関節炎です。特に多い指の関節変形は、第1関節の場合はヘバーデン結節、第2関節の場合はブシャール結節といいます。加齢やホルモンにより誘発する変形と、過度に使い過ぎたクライミングのものとは意外にも医学的に同じカテゴリーになります。
第1関節のヘバーデン結節の場合、クライミングによる使い過ぎならプラスに働きます。ただし腫れがひどい段階では過度に使用してはいけません。骨の変形が定着するまでは痛みもあります。この場合はMSMなどのサプリメントがかなり効きます。クライミングでは第1関節のヘバーデン結節は避けて通れませんので、練習、腫れ、サプリ、休養、を繰り返し行うことで骨の発達を促し、骨変形による強化が負荷に追いつくのを待つのが最良の方法となります。平均で2年が必要です。
これが、第2関節のブシャール結節なら大問題です。指の曲がりがヒドく何をするのも邪魔になりますし、登っているときは横ブレが大きく第三関節や手首にネジレを伝えてしまいますので他の炎症を導きます。負担をかけると腫れるわけですから負担をかけないようなフォームへ改造します。第2関節を曲げないと腕や手首を大きく使わないので肩のフォームを変えなくてはいけません。肩や手首の代わりに肩周りを柔軟に使うように改造します。これは意外に簡単で、後ろに足を組み背中を思いっきり反らせる事で可能になります。この状態なら第2関節を曲げなくてもインナーマッスルや胸筋や僧帽筋がその代わりをします。そうすることで第1関節のみの変形で全体を優位にできるのです。
うまく第1関節のヘバーデン結節になった場合は、グルコサミン・コンドロイチン・MSMの3つが入ったサプリを大量摂取してください。必ず3つ入っていなくてはなりません。そしてフィンガーローラーで膨らんだ骨の部分をそっとマッサージします。コブの部分にローラーを当てゆっくりとコブを前後させます。ゆっくり軽くです。ストレッチやアイシングは逆効果です。傷口に塩を塗る行為ですので絶対にしないでください。
注意事項として加齢やホルモンによる発症と混在している時は、腫れが引きませんのでクライミングを中止するしかありません。サプリも休養も効果が無い場合は病院へ行って下さい。得に女性は発病しやすいので注意が必要です。現在のところ発病するメカニズムはわかっていないようですが、リュウマチや他の関節炎とも全く違うので治療方法も難しいようです。クライミングによるオーバーワークとの違う点は休養すると良くなることと太く強くなると炎症が止まるところです。
関節炎でやってはいけない治療方法とは
(1)アイシング、湿布、エアサロンパス
(2)低周波、トップラー波などの電気治療器による治療
(3)ストレッチ
(4)理学療法マッサージほか、マッサージ
(5)超音波による治療
(6)痛み止めの注射
(7)ゴムチューブでのインナートレーニング
(8)筋力アップのためのトレーニング
(9)手術
※その他の関節障害
インピンジメント症候群
ド・ケルバン症候群
肘部管症候群
耐乳酸やLT(Lactate Threshold:乳酸閾値)はクライミングに必要ですか
他のスポーツと同様にクライミングでは指や腕に関して特に重要です。リードとボルダリングではATとFTPに大きな差ができるためトレーニングを3週間前にはターゲットを変えたほうが良いと思われます。しかし近年ではボルダリングは1つのコンペで登る本数が増える傾向とリードコンペに時間制限ができたため、以前ほど相関的な有利性がなくなってきています。よってリードの技術をマスターする事でFTPを向上させ、ボルダリングにも良い影響を与える意味合いはかなり強くなってきています。このように乳酸関連の管理手法を取り入れることは今後のクライミングシーンにおいて限界を押し上げるために必要不可欠な考え方となってきました。コーチや選手の意識が追いついていいない現状では、このことを理解してトレーニングに取り組むと、今後数年は「かなり有利」であると考えます。
(運動強度:低)LT≒AeT…乳酸値が上昇を始める地点・一般的には乳酸値が1~3mmolの辺り(LT1:乳酸値が1mmol以下・LT2:乳酸値が2mmol以下)
(運動強度:高)FTP≒AT≒MLSS≒RC≒OBLA(注:OBLAについては例外あり)…より運動強度を上げてくと乳酸値が4mmolに達する地点
※このLT~RC(≒FTP)までの間をIB(Isocapnic Buffering:乳酸緩衝機能)と言い、乳酸値が上昇しているものの、運動を長時間続けられる範囲です。乳酸値は運動強度が上がるにつれ2段階に上昇速度が変わりますが、その最初がLT等(乳酸値が上昇を始める地点)で、次がFTP等(乳酸値が急上昇を始め長時間運動を持続できなくなる地点)ということです。
●LT(Lactate Threshold:乳酸閾値)
血液中に放出される乳酸が除去されるペースを超え始める運動強度。結果として、血中乳酸濃度は上昇を開始する。選手やコーチの大多数の実感としては、乳酸閾値(LT)は、レベル2(回復走)から3(テンポ走)への移行時と大体一致する比較的低い強度。一般的には乳酸値が1~3mmolの間。なお、LTには以下2つの詳しい区分けもある。LT1:乳酸値が1mmol以下
LT2:乳酸値が2mmol以下
●AeT(Aerobic Threshold:有酸素性作業閾値)
有酸素性エネルギー代謝の限界点
●FTP(Function Threshold Power:機能的作業閾値パワー)
約1時間の間、疲労せずに準定常状態で維持可能な最大のパワー。パワーがFTPを超えると、急速に疲労する。その一方で、FTPのすぐ下であれば、かなり長時間時間持続できる。
●AT(Anaerobic Threshold:無酸素性作業閾値)
呼吸による換気量と酸素摂取量との間には直線関係がある。しかし運動強度がある値を超えて増大すると換気量は酸素摂取量よりも急激に増大するため直線関係が崩れる。このとき血中乳酸濃度が急激に増加を始める。この臨界的な運動強度のこと無酸素性作業閾値(AT)と呼ぶ。厳密には「換気閾値(VT:Ventilatory Threshold)*」のこと。
*VT(換気閾値)とは、代謝率(酸素摂取比率(VO2))に対して、換気が急激に増加する運動強度のこと。無酸素作業閾値や換気閾値は、乳酸閾値(LT:Lactate Threshold)の推定によく使用される。
●MLSS(Maximal Lactate Steady State:最大乳酸定常値)
時間が経過しても血中乳酸濃度がほぼ一定のままである、最大の運動強度。最大乳酸定常値(MLSS)は、機能的作業閾値(FTP)と同程度で、選手やコーチの間で一般的なトレーニング用語として使われている「乳酸閾値(LT)」の意味に近い(特に説明がない場合の運動生理学的上のLTの定義からは、ややずれる)。
●OBLA(Onset of Blood Lactate:血中乳酸値上昇開始点)
血中乳酸濃度が4mmol/Lとなる運動強度。個人の血中乳酸値上昇開始点(OBLA)は、通常、最大乳酸定常値(MLSS)や機能的作業閾値(FTP)と近いが、両値よりも、顕著に低いか高いこともある。
●RC(Respiratory Compensation Point:呼吸性代償閾値)
筋肉中の乳酸値の上昇により酸素が供給不足(過剰換気)の状態に陥る境界線。酸素供給が足りていれば平衡を保たれている体内のPHバランスが崩れ酸性に傾き始める地点。生成の上限の最良の計測方法と考えられている。
カーボローディングについて教えて下さい
カーボローディング(Carbohydrate Loading)とは、スポーツなどの場面で、運動エネルギーとなるグリコーゲンを通常より多く体に貯蔵するための運動量の調節及び栄養摂取法である。グリコーゲン・ローディングとも呼ばれる。カーボ・ローディングは、持久力を必要とするスポーツなどの場面で用いられる。人間が体に蓄えられるエネルギーの代表として脂肪があるが、脂肪は沢山の貯蔵が出来る利点がある反面、即効的な利用に乏しく、多くのスポーツではエネルギー源として期待しにくい。それに対し、グリコーゲンはエネルギーとしての分解が容易で即効性があり、スポーツにおいて大変有効なエネルギーであるが、貯蔵できるのは主に肝臓と骨格筋などに僅かである。カーボ・ローディングはグリコーゲンを最大限、体に貯蔵して高い運動能力を得る事を目的に行われる。
通常よりグリコーゲンを多く保持する為、運動に必要なエネルギーの枯渇を起こしにくく、運動出来る回数や連続して運動し続ける時間を増大させる事が出来る。とりわけマラソンや自転車ロードレース、スキーのクロスカントリーなどの高い持久運動を継続するスポーツでは、エネルギーを大量に消費するため、グリコーゲンの貯蔵量は成績に大きな影響を及ぼす。例えばマラソンなどで、大会の数日前からトレーニングの強度を落とし、休息日も設けるなどして十分に体力を回復させると大会で疲れが出にくくなり、日頃とは比べ物にならないほど好成績となる場合がある。これは休息によって、日頃のトレーニングで痛んだ筋繊維が修復されるとともに、体内で枯渇気味になっていたグリコーゲンが十分に蓄積されるため、身体が本来の能力を発揮出来るようになるからである。大会前における体内のエネルギー調節を「カーボ調整」ともいう。
体内での蓄積量以上にグリコーゲンを消費し枯渇した場合には、通常、1日程度では十分に回復が出来ない。グリコーゲンが十分回復するまでには数日間(3日程度)かかるのでこの間は著しいパワー・持久力の不足に陥る。体内グリコーゲンの消費と貯蔵といったエネルギー収支についての管理をせず、大会直前まで通常のトレーニングを行ったり、休息期間を設けないなどの誤った調整を行うと、試合時のパフォーマンスを低下させることになる。なお、カーボ・ローディングはスポーツ試合時の対応のみでなく、疲労回復や身体能力の維持・向上などといった日常生活における身体コンデションの管理法としても有効な概念である。
●古典的方法
古典的な例としては、体にあるグリコーゲンを一度枯渇させ、それによってグリコーゲンを早急に回復・貯蔵する反応(リバウンド)を利用して大量の炭水化物を摂取し、効率よくグリコーゲンを貯め込む方法である。
大会(試合)など運動能力を最大限に発揮したい日の約1週間前から4日程度前まで、ごはんや麺類、パンなどの炭水化物の摂取を制限する。代わりにステーキやフライドチキンなど、タンパク質と脂質によって必要エネルギーを確保しながら、無理の無い程度に運動を行い、一旦、体のグリコーゲンを消費し枯渇させる。そして、3日前からは逆に控えていた炭水化物を大量に摂取し、運動を控えつつ最大限にエネルギーを貯め込む。
ただし、この方法は、疲労が残ったり、3日前からの高炭水化物の摂取期において体調を崩した場合(特に消化器官の不調など)にはグリコーゲンの蓄積が目的通り出来なくなる等のリスクもある。
●古典的なカーボ・ローディングの例
大会(試合)日を基準とした時期運動量食事備考
約1週間前~4日前増やす(または通常)高タンパク質・低炭水化物体内グリコーゲンを枯渇させる
3日前減らす高炭水化物リバウンド効果によりグリコーゲン蓄積
2日前~前日減らす・休む
●現在の方法
現在では炭水化物の制限を行わず、大会(試合)の約1週間前から運動量を減らしてグリコーゲンの消費を抑えつつ、3日前から大量の炭水化物を摂取して、グリコーゲンを体内に蓄える方法が推奨されている。こちらの方が体に掛かる負担が少なく、調整リスクも少ない。
●現在のカーボ・ローディングの例
大会(試合)日を基準とした時期運動量食事備考
約1週間前~4日前減らす通常(混合食)体内グリコーゲンを維持
3日前高炭水化物体内グリコーゲンを蓄積
2日前~前日減らす・休む
単に大会(試合)前に炭水化物を多めに摂るだけでも1.1~1.2倍程度のグリコーゲン貯蔵量増大は見込めるとされるが、カーボローディングを行うことによって、筋肉、肝臓中のグリコーゲン量をおよそ2~3倍に増加させることが可能である。いずれにせよ、大会前数日間は運動量を減らすか、休まなければ効果は見込めない。

